一般に都市部の不動産価値は、交通環境や周辺施設の利便性に依拠する。しかし、ハード面の観点のみならず、人々が土地の来歴や文化に抱く関心の所在を、都市が帯びる価値として可視化できれば、現在は他地域と差別化された価値形成がむずかしいと考えられているエリアにおいても、土地に根差した魅力を育む都市開発の企画等に寄与すると考えられる。こうした問題意識にもとづき、東京大学とNTT都市開発は、都市空間生態学と題した共同研究において、地域住民から見たまちの魅力を抽出するインタビューをこれまでに実施している。本研究では、同インタビュー記録を活用し、その音声の書き起こしを分析することで地域イメージを抽出する方法を提案する。提案手法は、テキストセグメンテーションによってインタビューを話題ごとに区切り、トピックモデルによってどんな話題が話されているかを推定するものである。各トピックに関連のあるセグメントとセグメントに含まれるキーワードを関連性の高さに順じて列挙し、その結果を要約することで、地域住民が関心を寄せているところの地域イメージとして抽出する。抽出した情報は、都市開発について議論するワークショップで実際に利用し、都市開発にどの程度役立つかといった評価を今後行う予定である。