Project

ウェブ生態系におけるキーストーン種の分析

ウェブの発展に伴って様々なソーシャルメディアが誕生し、人々のコミュニケーションの在り方は大きく変化しただけでなく、日々膨大な量のログデータを生み出している。本研究では、生物の生態系のように、ウェブを生態系と捉え、分析することによってその複雑なダイナミクスを理解することを目的とする。例えば、生物の生態系には、キーストン種という個体数は少ないにも関わらず、その種がいなくなってしまうと生態系に対して大きな影響を及ぼすような種が存在する。そこで、ウェブシステムにおいてもそうしたキーストーン種が存在するか否かを分析した。具体的には、オンライン掲示板のデータを自己励起性を考慮した確率的点過程モデルである Hawkes Processでモデル化し、ある掲示板のスレッドを削除した場合のシステム全体への影響度を推定することで、キーストーン種を特定した。その結果、ウェブシステムにも生物の生態系に存在するようにキーストーン種が存在することがわかった。また、掲示板の運営者が作成したスレッドと、一般のユーザが作成したスレッドを比較した場合、一般のユーザが作成したスレッドの方がキーストーン種になりやすい傾向であることを示した。