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存在感を持つコミュニケーション場のデザインと解析

ウェブ上のSocial Networking Service(SNS)やメールなどのタイピングが介在するコミュニケーションにおいては、執筆過程が終了した、静的な文章を交換することが前提となってきた。他方で、実世界における対面型(Face to face, F2F)のオーラルな対話においては、話者同士は相互の発話プロセスをリアルタイムに観察しながらコミュニケーションを行う。タイピングされた文章とオーラルな発話では、環境も使用する媒体も、前提となる条件が大きく異なる。 F2Fと比較した時、SNSでは特に発話行為者のイントネーション、抑揚やリズム、テンポといった、非合理的だが情動を喚起する情報が捨象される。結果、テキストの受け手は、発話行為者の行為主体性(agency)を知覚することが困難になるのではないか。

二者間のリアルタイムでの相互作用のみを取り出した実験として、知覚交差実験を用いた研究をこれまでに行っている。これは一次元の仮想空間上で、2人の被験者が互いに相手を探りあてるものであり、ミニマルな実験設定でありながら相手の存在感を強く感じることがあり、その際特徴的な二者間のダイナミクスが生じることを明らかにした。

本研究では、以上の知見と仮説に基づき、通常のウェブ上でのテキストコミュニケーションでは捨象されてしまうプロセスを可視化することによって、話者同士の互いの行為主体性の知覚が高まる可能性を検討する。